最近では、分譲住宅においてもオープンキッチンの間取りが主流になりつつあるようです。
しかし、ミキプランニングでは分譲住宅にオープンキッチンを採用する事はまずありません。
それにはたくさんの理由があります。
最も大きな理由として・・・僕自身、分譲住宅に求められるのは「誰が使っても使いやすい汎用性の高い間取り」だと思っているからです。
「汎用性の高い間取りは多くの人にとって長く快適に生活できる間取りでもあり、資産価値の高い間取りでもある」・・・とも考えています。
そのような意味で、個人的には分譲住宅でオープンキッチンやアイランドキッチンを採用する事はありません。
オープンキッチンやアイランドキッチンは誰にとっても使いやすいキッチンではないからです。
キッチンは収納がたくさん必要な箇所ですが、吊戸棚が付けられず、収納に利用できる壁面も少ない。つまり、収納を確保する事が難しいキッチンです。
油や水がダイニングのほうまで飛び跳ねて、お掃除が大変なキッチンです。
キッチンは、毎日朝も昼も夜も使う場所ですが、常に片付いている状態を求められます。
常にキレイに片付けておかないと、ショールームで見たような生活感を排除したオシャレな空間をイメージしたつもりが、生活感がむしろ強調された印象の空間となってしまうでしょう。
つまり、「住まい手に求められるハードルがかなり高いキッチン」です。
「使う人に覚悟が求められるキッチン」とも言えるでしょう。
使う人に「見せる事を楽しむことができるかどうか」・・・も、問われるのではないでしょうか。インテリアが好きな人であれば、キレイに片付いたリビングやキッチンを維持する事はさほど苦にならないでしょう。しかし、そうでない人も多でしょう。
逆に、設計をする側にも「綿密な計画」が求められるのがアイランドキッチンです。
住まい手に求められるハードルは確かに高くとも、設計する側としては「最小限の労力で、最大限に片付くようになる工夫」が必要です。
しっかりと収納を確保する為に、また、生活感を極力なくし、アイランドキッチンを本来のイメージ通りのものとする為には、平面的な面積のゆとりも必要でしょう。
「なんとなくカッコいいから・・・という理由で採用する事など許されないキッチン」だと思っています。
住まわれる人が決まっている注文住宅では、住まう人の性格や物の量を踏まえ、打ち合わせを経る事でそれらのハードルを乗り超える事もできるでしょう。
しかし、それを分譲住宅で採用しようというのは・・・・つまり、「アイランドキッチンの覚悟」を不特定多数のお客様に対して一方的に求めるという事を意味する訳で、それはある意味すごい事だと思う訳です。
分譲住宅や分譲マンションの世界では、アイランドキッチンやオープンキッチンを設置し、それをキャッチコピーにしている事が多いような気がします。
不特定多数のお客様を対象にする分譲住宅なのに、何の工夫も背景もなくただ置いただけのアイランドキッチンを、お客様に覚悟を求める訳でもなく、イメージを演出する為に計画し、それを宣伝文句とする。
そのような物件を見るたびに軽薄だなぁと思うし、自分が造りたいのはこれと正反対の家なんだなと思うのです。
ミキプランニングでは、分譲住宅でキッチンを計画する時には、フルオープンにはせず必ず立ち上がりを設けるようにしています。
それにはいろいろな理由や考えがあります。
それを順番にご紹介したいと思います。
キッチンの手元には隠したい物がたくさん。
↑ 松栄小学校南の家 半独立式対面キッチン カウンターより約20センチの高さの立ち上がりを設ける事によって、キッチンの手元を隠すように。
立ち上がりを設けたい最大の理由は、キッチンの手元を隠したいから。
物が少ない人・使った物はその都度片付ける人・掃除が好きな人は問題にならない事かもしれませんが、我が家も含めてそのような人ばかりではないはずです。
僕自身は、使用頻度が高い物は取り出しやすく仕舞いやすい場所に収納する、場合によっては出しっぱなしにしておくほうが便利だし、そうしておいても乱雑さを感じさせないようにするのがベストだと考えています。
そうなると、キッチンカウンターまわりには常時置いておきたい物があるはずです。
立ち上がりを設けたほうが良いと考えているのはそのような理由からです。
それに、キッチンの使い方は人それぞれ。使用頻度が高いもの、手の届く場所に置いておきたいものも人それぞれです。
また、時と場合によって(又は使う人によって)、常にキレイに片付いているとは限りません。
キレイにする事に対して神経質にならなくても、機能を最優先した使い方をしても、、この立ち上がりがある事によって色々な人の色々な使い方を許容してくれます。
そこに生活があるのなら、生活感が出るのはあたりまえです。
生活の利便性を損なってまで生活感を無くす、見た目の良さを優先するという考え方は、少し自分の考えとは違います。
キッチンには立ち上がりを設ける事が、少なくとも分譲住宅においては普遍的で汎用性の高い、最もバランスの取れた解答なのではないかと考えています。
立ち上がりの高さは水切りカゴが隠れる高さ。
「フルオープンキッチンのジレンマ」それを感じる代表格は「水切りカゴ」です。
いろいろな人が水切りカゴを無くす為にそのかわりになる方法を試行錯誤していますが、機能性だけならやはり水切りカゴが優れています。
食洗機を使うという方法もありますが、全ての方が食洗機派とも限りません。
我が家でももちろん食洗機を使う事もありますが、多くの場合手洗いのみ、もしくは手洗いと食洗機併用です。
一般的な大きさの食洗機では、洗い物が多い時は食洗機だけではカバーできません。
少量の洗い物であれば手洗いしてしまったほうが早い。
そうなるとやっぱり水切りカゴはあったほうが良い・・少なくとも分譲住宅という不特定多数の方に対しての汎用性の高い解答としては、「水切りカゴを使用」だと、僕自身は感じています。
ミキプランニングでは「水切りカゴが隠れる高さ」を、キッチン立ち上がり寸法の基準とし、約20センチで計画する事が多いです。
立ち上がり部を利用して、収納を設けられる。
↑ 千種区南明町 佐藤自宅
恥ずかしながら我が家の写真。
背景にうっすら見えるゴム手袋。使い終わった後に濡れている物なので、これもオープンキッチンでは収納方法に困るものの1つではないでしょうか。
我が家ではスポンジホルダーにペッと引っ掛けて完了。
ピッチャーやボトルを洗う棒状のスポンジ。これもよく使うものなので、スポンジホルダーに差しっぱなし。
いずれも、立ち上がりがあるおかげでリビング側からは見えません。
本題はキッチンペーパーと台ふきん。
キッチンペーパーの使用頻度はみなさん高いはず。
使いたいと思った時に手が濡れていたり汚れている事も。
そのような時に扉や引き出しを開けて取り出して・・・なんて、多くの人はしたくないのではないでしょうか。
そうすると、すぐ手が届く場所に常に置いておきたいものです。
キッチンに立ち上がりがあると、その高さを利用して、写真にあるような金物を取り付ける事ができます。
ミキプランニングでは標準仕様として採用しているものです。
何が良いかって、まず、すぐに手が届く使いやすい場所にキッチンペーパーが常時スタンバイしている事。
次に、宙に浮いている事。キッチンペーパーは、調理中濡れている事も多いカウンターの上には一時的にでも置きたくないものです。
宙に浮いている事で、キッチンカウンターの上の場所を取らず、掃除もしやすい。
それに、トイレットペーパーのように使えるので、使い勝手が非常に良いです。
ペーパーホルダーの奥に写っているふきんかけも便利です。
ふきんを干す場所としては宙に浮いている必要がありますが、この立ち上がりと金物があるおかげで、スペースを犠牲にせず最も自然で使いやすい場所に収納する事ができています。
もちろん、ペーパーホルダーもふきんかけも、リビング側からは見えません。
写真には写っていませんが、、この立ち上がり部にはミキサーなどの調理器具を使う為の電源も設置されています。
キッチンペーパーやふきんの収納場所についても「オープンキッチンのジレンマ」ですが、電源についても苦労されている人が多いようです。
ダイニング側から使える収納棚を造作できる。
↑ 千種区南明町 佐藤自宅
キッチンに立ち上がりを設ける事で、反対側のダイニングから使える収納棚を造作できます。
我が家では、ティッシュ置き場になっています。
置いてあるのは、大人が使う普通のティッシュ、子供が使うちょっと良いテッシュ。それにウェットティッシュ(おしり拭き)です。
小さな子供がいるので、ダイニングに座ったままティッシュやおしり拭きに手が届くのが非常に便利。
このようなスペースがあると、テーブルの上がスッキリします。
このスペースには電源も設置しますので、携帯電話を充電したりもしています。
小さな子供の手が届きにくい高さに配膳カウンターを設置できる。
↑ 瑞穂公園西の家 やかんが乗っている箇所です。
よほど寸法的に余裕がない時を除き・・
キッチンの立ち上がりの上部は配膳カウンターとして、また、キッチン作業台の延長としての物の置き場所として使いやすくなるように少し広めの寸法にします。
寸法は物件によって様々ですが、写真にあるようなトレイや大きめのお皿が安定して置けるような、また、お鍋の一時的な置き場になる寸法で計画します。
このカウンターは、キッチンの天板より20センチの立ち上がりを設け、105センチの高さで計画する事が多いですが、この高さは「小さな子供の手が届きにくい高さ」になります。
お皿などの割れ物が置かれる事が多い配膳スペースとしては、これくらいの高さがあるほうが安全で安心です。
オープンキッチンをつくる場合。その実例。
↑ 注文住宅で造作したオーダーキッチン 天井についているのは「うんてい」です。
注文住宅でオープンキッチンを提案する場合には、大型深形シンクで中に水切りカゴ機能をインストールできるもの。もしくは、大容量の食器洗浄乾燥機の採用をオススメしています。
こちらのお家では、大容量の食器洗浄乾燥機を採用しました。
アイランド型ですので対面部分は意匠性を重視しています。
動線を最小限にする為に、対面部には洗い物専用のシンクを設置、水栓金物はどこから見ても美しく存在感があるドイツのグローエ社のものを採用。
ダブルシンク仕様なので、背面部のシンクは調理専用です。
濡れた物の対面部と背面部の横断がなくなるので床に水滴が落ちる事を防ぐ事ができます。
また、複数の人でキッチンを使う時にはダブルシンクがさらに活きてくるでしょう。
ダイニングテーブルはキッチンと一体の造りつけ。足の存在感を少なくする為に持ち出し構造にしています。
角度によっては、天板が浮いているように見えるキレイな納まりですが、椅子に座っている時に足元が窮屈にならないという良さもあります。
テーブルの上には分譲住宅でも採用している照明BOXを造作。
照明器具も雰囲気に合うものをいくつかご提案しながら選びました。
天井にはテーブルと同じオーク材を使用し、建築とキッチンの一体感を出しています。
背面部分にはしっかりと収納を設ける事。また、リビングから見えづらい場所にパントリーを設ける事は必ずご提案します。
こちらのお家もウォークイン型のパントリーをキッチン脇につくり、その中に雑多なものや冷蔵庫・オーブンレンジなどの家電製品を収納できるようにしました。
そのような仕分けを行う事でスッキリ整った印象のキッチンを維持しやすいようにしています。
キッチンペーパーホルダーは吊り戸棚の内部に造り、すぐ手が届く場所にあり、かつ、見栄えを損なわないようにしています。
油はねを最小限にするために、ガスコンロは背面の壁際に設置し、調理用シンクをその脇に。
タイルはお手入れがしやすい大きめのものを採用し、目地はメンテナンス性の高いものを選択しました。
写真ではわかりづらいですが、タイルは表面がわずかに波打った表情のあるものを使用しています。
背面の吊り戸棚内部に作業等となる照明を納めており、その光がタイルに当たる事によって、タイルの表情が程よく浮き出るようにしています。
天井の線状の照明器具がメインの明かりですが、存在感を最小にするため、小型の器具を天井のスリットに埋めこんで施工しています。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
まだ少し未完成な部分、手直しが必要な部分を残しておりますが、建物内部は概ね完成致しました。
早速家具を持ち込んで撮影してきました。
毎回家具を持ち込んで撮影するのは少々大変な作業ではありますが、建築物の見学と撮影が趣味な自分にとっては楽しい作業でもあります。
余談ですが、建築写真用の広角ズームレンズを8年ぶりに新調した事もあり心躍らせながら撮影しました笑
ホームページの仕様上解像度が落ちてしまうのが残念です。
枚数は少ないですが、ご紹介致します。
↑ 松栄小学校南の家 B邸 現地にて撮影 リビングよりダイニングルームを見る。
こちらはB邸の写真ですが、A邸もほぼ同じ間取り・仕様です。
このリビングでやはり印象的なのは、ダイニングルームの明るさです。
リビングだけでなく、ダイニングルームの前にも大型採光窓が計画できているのは「敷地形状の良さ」による大きな恩恵です。
一般的な南北に長いリビング・ダイニングの場合、こうはなりません。
↑ 松栄小学校南の家 B邸 現地にて撮影 ダイニングルームを窓側に見る。
窓際にはカーテンが美しく納まるようにカーテンボックスが造作されています。
カーテンでもブラインドでも、レールやメカがある根本部分を隠す事で窓際がすっきり美しく見えます。
カーテンの場合、厚みのあるドレープを畳んだ時に窓を塞いでしまわないよう、両サイドに少し余裕を持たせてカーテンボックを造作しています。
ダイニングテーブルの上は照明ボックスを計画し、テーブルの位置や大きさに合わせてペンダントライトを自由な位置に設置できるようにしています。
写真では1灯のランプですが、小さめのランプを2灯吊りするのも良いと思います。
写真ではテーブルをカウンターに寄せず、まわりをぐるりと回遊できる配置にしておりますが、大きめのテーブルを設置する場合・伸長式のダイニングテーブルを伸ばして使う時・リビングをより広く使いたい場合、カウンターに接するようなテーブル配置もアリだと思います。
ダイニングルーム全体の明るさを確保するため、テーブルのまわりにはダウンライトを4灯配置。
存在感が少ない小径薄型、明るいのにまぶしさを感じないようデザインされているお気に入りのダウンライトです。
リビングダイニングにある採光窓は電動シャッターです。
防犯性をスイッチひとつで手軽に高める事ができる電動シャッターですが、我が家ではほぼ電動ドレープカーテン代わりに明るさや日射を調整する為に使われています。
本当に便利で、今では電動シャッターがない生活は考えられない程愛用しております。
↑ 松栄小学校南の家 B邸 現地にて撮影 ダイニングルーム脇のカウンター。
「松栄小学校南の家 」でリニューアルしたダイニングテーブル脇のカウンター。
物が集まりがちなテーブル上をすっきりさせる為、また、テーブルの近くで使いたい(けど、テーブルの上に置きっぱなしを避けたい)ティッシュボックスや調味料などを置いておけるカウンターとして、いろいろな目的で造りつけていたカウンター。
寸法を見直し、使い勝手は大幅に向上したと思います。
※関連記事:ダイニングテーブル脇のカウンターの寸法を見直しました。
↑ 松栄小学校南の家 B邸 現地にて撮影 ダイニングよりリビング北側を見る。
リビングルームについてもA邸とB邸ではほとんど差がありませんが、B邸は天然木仕上げの折り上げ天井になります。A邸は間接照明が計画された折り上げ天井になります。
リビングの壁際には間接照明を天井に埋め込んでいます。器具の存在感が無く、角が取れたやわらかい反射光はリビングに相応しい落ち着いた光です。
階段とリビングの境界には、カーテンやスクリーンを設置できるように計画しています。
以上、「松栄小学校南の家」完成写真のご紹介でした!
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
松栄小学校南の家、内装コーディネートを決定しましたのでご案内します。
悩んだ末、今回はA邸・B邸同一のコーディネートとなります。
↑ 瑞穂公園の家 このフロアカラーは、同色系の家具はもちろん、写真に写っているチェアのようなウォルナット色との相性も悪くないと個人的には思っています。
まず、フローリングはこの写真と同一の商品・カラー。
この色のフロアにライトグレーの壁クロスを合わせます。
写真ではわからないほどのグレークロスなので、これを壁も天井も同色でコーディネートするとグレーの雰囲気が出ません。
なので、ライトグレーの壁クロスを引き立てる為に、天井はホワイトのクロスを使用します。
この組み合わせが最近はマイブームというか、自分の中では鉄板の組み合わせです。
主張が過ぎない淡いグレーはインテリアを選びません。
アクセントで使用するクロス(写真カウンター奥)も同色系とし、色・明るさ共にコントラストが強くなりすぎないようにしています。
ドヤ感たっぷりのコントラストが強烈なアクセントクロスは僕の中で分譲あるあるですが、分譲住宅にインテリアの方向性を限定してしまう強い主張はいらないと僕は思います。
インテリアのベースとして存在感や主張はできるだけ少なく・・
さまざまなインテリアに合わせる事ができるのはもちろん、インテリアをさらに引き立てる事もできる・・
それは、グレークロスが持つ洗練された雰囲気によるものだと思います。
↑ 千種区南明町 我が家 マイオフィス
マイオフィスも同じコーディネートです。
↑ 千種区南明町 我が家 玄関
オフィスは松栄小学校南の家と同一コーディネートですが、玄関・リビングはもう少し強いグレーのクロスを使いました。
そして、夕暮れの写真なのでよりグレークロスの雰囲気がわかる写真となっています。
天井のホワイトクロスと比較するとよりグレー感がハッキリわかります。
自宅なので完全に自分の好みで採用しましたが、この少し濃い目のグレークロスを分譲住宅で採用した事は(怖くて)まだありません。
↑ 平和公園北の家
タイルは一時期、グレーのものを採用してみたり、ベージュ系のものを採用してみたり・・いろいろ試行錯誤をしていましたが、最近は300×600の黒系のタイルを目地をずらして貼る仕様に落ち着いています。
建具の色はこの写真とまったく同一。
個人的には、すべての建具をフロア同色にするのは少し重たい気がします。
なので、人が出入りするドアは左側のフロアと同系色。
収納扉は壁と近いトーンの右側の色。
そのように区別して色を決めています。
B邸リビングの折り上げ天井は、上の写真にあるような木張りです。
仕様は少し違いますが、樹種はまったく同じなので、雰囲気はほぼ同一の仕上がりです。
↑ 松栄小学校南の家B邸 折り上げ天井の木張り
今日現地に行ったら天井の木張りが完了していました。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
松栄小学校南の家、価格を発表します。
A邸:5,190万円
B邸:5,190万円
角地のA邸と東間口のB邸。
土地の資産価値や流動性が高いのは角地であるA邸です。
一般的には角地の区画を高く設定する事が多いでしょう。
不動産業者的な査定をすれば、資産価値が高いのは角地のA邸です。
しかし、どちらも同じ金額としたのは「南側の離隔距離の差」です。
B邸は南側の境界までの距離が約5m。A邸は南側にあるB邸までの距離が約3.5m。
この差が陽当たりに与える影響は「ある」と思います。
その事を鑑み、同一の価格としました。
(実際は、土地の大きさがB邸のほうが1坪ほど大きいので、同じ価格とはいえ、B邸のほうがその分割安感のある設定と言えなくもないです。)
ただ、本日も現地を見てきましたが、A邸でも十分な明るさを確保できています。
その点、完成内覧会での大きなご確認ポイントとなるでしょう。
価格を決定するにあたって断熱の仕様を検討しておりましたが、「松栄小学校南の家」では、吹付断熱を採用する事にしました。
吹付断熱を最初に採用したのは、注文住宅のO様邸。
マンション住まいだったO様は、一戸建てを新築するのにあたって「寒さ」を懸念されていました。
鉄筋コンクリート造のほうが断熱性能が優れているとは一概には言えませんが、マンションは両隣や上下階が屋内の居住スペースとなっている事が多く、その点は断熱上かなり有利です。
実際、僕も前はマンション住まいでしたが、一戸建てと比べるとマンションは暖かかったです。
マンションから一戸建てに引っ越したO様の評価も高く、自分自身も新築時に導入し、実際に生活してみて違いを感じる事ができ、やって良かったと思える仕様です。
吹付断熱の採用によって予定していたよりも40万円〜50万円程販売価格が上がりましたが、それに見合うリターンは必ずあるはずです。
↑ 「松栄小学校南の家」吹付断熱施工後の様子
↑ 注文住宅O様邸 ホームリサーチさんによる断熱検査の様子
断熱材そのものの性能(熱伝導率)は、ミキプランニングがいつも採用しているロックウールと差はありません。
しかし、吹付断熱はほぼ柱の厚みである105mm施工します。
それによる断熱性能の向上がまず1つ。
さらに、吹付断熱はすじかいやダクトの周辺など、細かく入り組んだ箇所にも隙間なく施工できるという点が大きなメリット。
気密性が高まるという点が2つ目のメリットです。
ちょうど完成内覧会は冬の時期。
他社さんでも吹付断熱を採用している物件はあると思いますが、まだ少数なはず。
その点も完成内覧会でのご確認ポイントです。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
大変お待たせ致しました。
「松栄小学校南の家」間取りの公開と共に、その解説記事をアップ致します。
関連記事:私が物件づくりで大切にしている事&解説記事を書く理由。
間取りの基本構成としては・・・
1階に寝室と水回り、できるだけ多くの収納。
2階のリビング。
3階の子供部屋。
これは、今までミキプランニングが造ったお家すべてに共通する構成です。
1階に寝室を配置するのは、3階に子供部屋を配置する為。子供部屋へ行くのにリビングを通る動線とする為です。
また、比較的明るさを求められない寝室を1階に配置し、お昼に過ごすことも多い子供部屋はより明るい3階に配置するという意味もあります。
1階に水回りや収納などの小さい空間をたくさん配置する事で、耐力壁をより多く配置できるようになります。
動線の中心でもありより明るい2階にリビングを配置します。
まずは1階からご説明します。
●駐車場の後ろに活用できそうなスペースが少しあります
「松栄小学校南の家」の土地は、奥行きが約7m。
境界に施工しているコンクリートブロックの厚みを考慮すると使える奥行きはおよそ6.8m。
一般的な奥行き4.6〜4.7mくらいの車なら、車の後ろに奥行き2m強のスペースが残ります。
B邸の場合、2台目を小さい車にすればより大きなスペースが残ります。
子供のプール遊びの場とする・お洗濯物を干す・自転車やバイクを置く・物置を置いて車への荷物の出し入れをさらに便利にする・プランターを並べて植物を愛でる・・・
使い方は様々です。
外構のプランはまだ白紙の状態ですが、このスペースを多目的に活用しやすくする為にどうするべきか、、それを検討しながら計画を練りたいと思っています。
●玄関まわりの収納
↑ 当社施工事例 平和公園南の家 玄関に納戸がある間取り
玄関まわりの収納をいかに充実させるか、これは間取りを検討する時にかなり重要視している事で、ミキプランニングの家の特徴とも言えるかもしれません。
僕もこの仕事をしているといろいろな物件の間取りを見ます。
その中で最も疑問に思うのが玄関まわりの収納の少なさです。
家の中にあるものの中で、玄関に収納したいもの・玄関に収納できたら便利なものはたくさんあります。
ベビーカーやキックボード、三輪車など子供の乗り物・部活で使う子供のスポーツ用品・ボールなどの遊具・ゴルフバックやスキー板・キャンプ用品・屋外用の掃除道具・自転車の空気入れ・ペット用品・子供のヘルメット・・・・
これらは全て外で使うものです。
しかも、傘や洗車用具などは濡れるものです。
家の中で使わないもの、特に外で使うものや濡れるものを家の中に持ち込むのは避けたい。
家づくりにはいろいろな考え方があると思いますが、それについては異論はないはずです。
それに、外で使うものは車に積み込む機会も多いです。そのようなものの収納場所としてはやはり、車への積み込み・積み下ろしがしやすい玄関まわりが最適です。
また、最近では通販を利用する機会も多くなり、梱包用の段ボールを一時的に収納しておく場所が玄関まわりに必要です。
これらの収納場所として十分なスペースが確保されていないと玄関まわりが荒れます。
片付いていない玄関が通常状態では、心地よい暮らしを送る事はできません。
新しい事を始めたいと思った時、収納の問題で断念しないといけないかもしれません。
僕は子供が今2歳で最近よくキャンプへ連れて行きますが、キャンプは収納場所の問題をクリアしないとなかなか始められない趣味でもあります。
住宅は住む人の暮らし・生活を受け入れるうつわのようなものです。
そのうつわにゆとりがないと、世の中の変化や自分自身の暮らしや生活の変化に対応する事ができません。
豊かな生活・心地よい生活を送る上で十分な量の収納を確保しておく事は必ず必要な事だと思います。
A邸はB邸に比べると、玄関納戸の面積は約半分ですが、棚板が前後に2枚設置されているので、収納として活用できる幅はB邸とそんなに変わりません。
ただし、A邸は靴を脱いでアクセスする納戸なのに対して、B邸は土間納戸です。
その点、B邸のほうが納戸としては使いやすいかもしれません。
●十分な収納量の靴収納
納戸とは別に、靴の収納は床から天井までの大型のものを計画しています。
靴収納についての考え方についても、別に記事にまとめていますので、ご覧下さい。
上の写真は我が家の靴収納ですが、A邸はこの約1.5倍の横幅です。相当大きいです。
B邸は我が家と同じ横幅です。それでも十分な収納量があると思います。
●南側に引き違いの彩光窓がある寝室
寝室は夜使う部屋です。
とはいえ、引き違いの彩光窓を(隣家との間にそれなりの離隔距離を確保した上で)計画する事は、どんな間取りでも実現できるとは限りませんが、可能な限り実現したい事です。
「松栄小学校南の家」では、どちらの棟も南側に引き違いの彩光窓を計画できています。
1階のお部屋なので、朝起きてカーテンや電動シャッターを開けたらまぶしい程の朝日が差し込む・・という程ではありませんが、自然の明るさで目覚めを促進してくれるでしょう。
寝室の引き違い窓には、電動シャッターが標準装備されております。
寝室に電動シャッターがあると良い事がたくさんあるのですが、それはこちらの記事をご覧ください。
●スペースを最大限活用した寝室の収納計画
↑ 瑞穂公園西の家 寝室のウォークインクローゼット
寝室のクローゼットは、空間を下から上まで余すことなく活用できるように、可動式のハンガーパイプを計画しています。
※関連記事「クローゼットを最大限活用できるダブルハンガーパイプ仕様」
ただし、すべてをダブルハンガーパイプ仕様で使うとコートなどの長い服がかけられなくなってしまいます。
A邸のウォークインクローゼットは1列のみ、B邸のクローゼットは向かって左手のクローゼットがダブルハンガーパイプ仕様となっています。
●まぶしさを感じない寝室の照明計画
↑ 平和公園南の家 寝室の照明
太陽の光とその陽当たりが住環境の質に影響を与えるのと同じように、照明計画の良し悪しが住環境の質や居心地に与える影響は少なくありません。
本来、陽当たりを気にするのと同じくらい照明計画には気を使うべきだと僕は思うのですが、残念ながら多くの分譲住宅では照明計画と呼べるほどのものはほぼ存在しないのではないかと思ってしまいます。
口が悪いようですが、本当にそう思うのですから仕方ありません。
寝室の照明計画については、標準仕様という訳ではありませんが、基準となる考え方と器具の選定があります。
その事については、別の記事にまとめましたので、ご覧ください。
●洗濯機のある1階に室内用洗濯物干し金物を計画する。
ミキプランニングの家は、1階に洗濯機置き場があるお家がほとんどなので、可能な限りお洗濯物を干す場所を1階につくりたいと思っています。
松栄小学校南の家では、B邸は寝室南側の窓外側にお洗濯ものが干せそうなスペースを造ることができています。
寝室が少し窪んだ形状になっているのは、お洗濯物干し金物を設置できるようにする為です。
洗面脱衣室内に少しですが、収納を設けています。
下着類や室内着だけでも、1階でお洗濯をし、1階でお洗濯ものを干し、1階に収納する流れをつくりたいと思って計画したものです。
A邸では、2階のバルコニーにお洗濯物を干す事になりそうですが、1階に室内用の洗濯物干し金物を設置する事で、少量のお洗濯物であればカバーできるようにしています。
●洗面脱衣室のくふう。
洗面脱衣室は収納量を確保する事が難しい場所ですが、収納が少しでも多くほしい場所でもあります。
その為に工夫している事を記事にまとめました。
※関連記事「 お手入れがしやすい洗面台と脱衣室の収納量を少しでも増やす為の工夫」
●お手入れがしやすく使いやすいお風呂にする為に
大した事ではありませんが、お風呂のお手入れをしやすく、また使いやすくする為の工夫を記事にまとめました。
※関連記事「お手入れがしやすく脱衣室を濡らさないユニットバスの仕様」
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展