なぜ、そうしたのか?という解説記事を書く理由。
私は、「なぜ、そうしたのか?」という造り手の動機をご説明するという事をとても大切な事だと思っています。
家づくりや土地探しには絶対的な正解はありません。
様々な価値観を持つメーカーが存在し、様々なお考えのお客様が存在します。
そんな中、造り手側とお客様双方にとって最も大切で幸せな事。それは「お互いの価値観が一致する」という事ではないかと思っています。
なんとなく・・・というのはモノにとっても人にとってもあまり幸せとは言えないのではないかとも思います。
お客様の側としては、なんとなく買ったモノでも使ってみたらその良さがすごく理解できて、とても愛着を持つに至った・・・という事も考えられますが、少なくとも造り手側がこだわりを持って商品を造っていなければそんな奇跡も絶対に起こりません。
なので、造り手側としては「なんとなく・・」というのは決して許されない事で、価値観や動機を持って商品を造る事がとても大切な事だと私は思っています。
しかも、注文住宅とは違い分譲住宅は、造り手側が造り手側のみの意志で土地を選び・間取りや仕様を決め、家を造る訳ですので尚更造り手側に明確な価値観や動機を求められると思っています。
分譲住宅と言えば、世間一般的には「妥協の産物」として受け止められている節がありますし、実際に私自身そう思う物件も多いです。
しかし、少なくとも私はそうは考えていませんし、そのような物件を絶対に造りたくはありません。
分譲住宅は、不動産と建築、双方に精通したプロが土地選びから造りあげる商品である以上、プロによる提案が詰まった住宅でなければいけません。
エンドユーザーが見つけられない価値のある土地を仕入れなければ分譲住宅である意味がありません。
エンドユーザーが気付けない価値を間取りとして提案できなければ分譲住宅である意味がありません。
エンドユーザーでは実現が難しい土地・建物・価格・品質のトータルバランスを実現できなければ分譲住宅である意味がありません。
故に、なんとなく造られた動機無き分譲住宅ほど悲しい存在はありません・・・。
分譲住宅だからこそ実現できる価値、それをどこまで提案できるのか。
プロとしてこの仕事に関わるのであれば、その事は最も大切にしていきたい事だと思っています。
そして、「なぜ、そうしたのか?」という事を造り手側としてしっかりお客様に伝え、それに納得や共感をして頂いた結果として私が造った物件を購入してくださり、住まい続けて頂ける。
それが、私にとってもお客様にとっても物件にとっても、最も幸せな事だと思うのです。
もうひとつの理由
まだ会社勤めだった時代、自分の考えからはとても良いと思えない物件をノルマの為に仕入れ、また、そんな物件をお客さんに営業するのが本当に嫌でした。
自分自身が心から良いと思える物件を造り、ありのままの自分の想いを伝え、お客様もその想いや考え方に共感して頂いてその物件に末永く住んで頂く。そんな仕事をしたいと渇望していました。
その後紆余曲折があり自身の会社を設立する訳ですが、まず最初に、「自分の物件を造るからには自分自身が良いと思えないような物件を造ってお客様におススメするような事だけは絶対にやめよう。」と思いました。
ですので、ミキプランニングでは創業以来、土地の仕入れはもちろん、間取りの企画・内装コーディネート・外装コーディネート・照明計画および器具の選定・収納計画・造作(こまかい造り込み)計画など、商品づくりに関するほとんどの工程を代表である私自身が納得できるまで検討を重ねます。
仕様を決める為にはショールームへ何度も足を運び、造作や照明の計画の為には私自身が何枚も図面を引き、自分の考えが正しく建物に反映されるように現場には何度も足を運び、監督さんや時には職人さんと直接打合せを重ねます。
その検討は、例えば何気ない棚板の奥行や高さなど、細部に至るまでに及びます。それは、お客様がなんの事前情報もなしに物件を見学しても絶対に気付けない事ばかりだと思います。
「なぜ、そうしたのか?」という考え方や動機をご説明するという事を大切にしているのはこのような理由もあるのです。
また、私自身がそのようにして造った物件に対する考えや想いを直接お客様にお伝えしたいので、お客様と接し、物件のご説明をするのも、私自身です。
そうなると、ひとつひとつの物件に対する思い入れはとても強くなる訳です。
なのでやはり、お客様が私の物件に対する考え方や価値観に共感して頂いた時にはとても嬉しい訳で、何よりも、そうゆう仕事の仕方が自分自身とても楽しいし性に合っているというのが一番の理由かもしれません・・・。
会社の規模が大きくなればなるほど、そのような仕事の仕方は構造上どうしても叶わなくなってしまいます。
(参考記事:大手分譲事業者が商品にこだわり抜く事ができない理由)
なので、自分自身や会社の将来を考える時、そのような仕事の仕方はこれからも変えたくないと思っています。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展