この記事では、「千種区南明町の家」の間取りについて、なぜこのような間取りになったのかを解説します。
一見すると活用が難しいように思えるこの敷地形状。
間取りを計画してみて、普通の長方形の土地では決して実現する事ができない魅力的な間取りの要素を数多く発見した事は、この土地の購入を決断した大きなきっかけでした。
●L型の建物配置によって、あらゆる居室が南側と東側から採光を受けるように。
↑ 「千種区南明町の家」南からの光を取り入れられる壁面はオレンジ色の部分。広く満遍なくどのお部屋も時間帯を問わず明るい間取りです。
L型の建物配置にする事で、光を室内に取り入れる事ができる壁面を長く確保できる間取りになっています。
この配置のおかげで、午前は南東側より、午後は南西側より、2つの採光面を持たせる事によって、どのお部屋に対しても時間帯に関わらず満遍なく光を取り入れる事ができる設計になっています。
寝室や子供部屋は朝から光が差し、明るく目覚めの良い環境です。
ダイニングキッチンは、朝食時も昼食時も明るく、気持ちがよく食事ができます。
1階の居室や2階のリビング、3階東側の子供部屋は朝から夕方までどの時間帯も明るく、採光の環境としてはこれ以上望む事はない環境です。
● L型の建物配置によって生まれる多様な外部スペース ~ その1 玄関アプローチ ~
三角形の土地にL型に建物を配置する事によって、3つの外部スペースが生まれます。
1つ目は、広々とした玄関アプローチです。
↑ 「千種区南明町の家」玄関アプローチ オリーブの木が目隠しとしても機能します。玄関前の土間スペースには、子供用自転車を置けるくらいのスペースがあります。
四角形の敷地では、駐車スペースに圧迫されて独立したアプローチを確保する事が難しい事が多いのですが、「千種区南明町の家」では、駐車スペースから独立し、かつ、植栽スペース(オリーブの木)がある余裕の玄関アプローチを実現できています。
このアプローチはウッドフェンスで囲まれており、道路から玄関内部の様子を伺う事ができないようになっています。
この独立した玄関アプローチは、この敷地形状でなければ実現できない「千種区南明町の家」の魅力のうちのひとつです。
●L型の建物配置によって生まれる多様な外部スペース ~ その2 玄関に面したウッドデッキのお庭 ~
玄関に入ってまず目に入るのは、大きなガラス窓に面したウッドデッキのお庭です。
↑ 「千種区南明町の家」玄関入ってすぐ、ウッドデッキのお庭の方向を見る。
このお庭は主に外干し用の洗濯物干しスペースとして利用していました。
洗面脱衣室からも近く、室内の床とウッドデッキとの間には段差がほとんどなく、お洗濯物を持っていても出入りがスムーズです。
物干しの上部は屋根がかかっており、雨にも濡れにくい仕様です。
個人的には、濡れた登山用具やキャンプ用具を乾かす場所として、大変重宝しました。もちろん、傘や雨具を乾かす場所としても活躍します。
何よりも、このウッドデッキのお庭は玄関に隣接している為、このお庭がある事で、玄関が明るく解放的で気持ちの良い空間になっています。
この便利な場所にあるデッキのお庭と明るい玄関は、この敷地形状だからこそ実現できました。
また、この玄関は東側にも窓があり、午前中も明るく、清々しい気持ちで外出する事ができます。
これだけ明るく開放的な玄関を30坪以下の敷地で実現する事は奇跡に近い事だと思います。
余裕のある広さの玄関には、余白となるスペースがあります。
写真左手、テーブルが置いてあるスペースです。
仕事柄インテリアや照明器具が好きな自分にとって、玄関にインテリアや花を飾れる余白の空間をつくる事は念願でした。
窓際で明るい場所である事も、ディスプレイの空間にとって重要な要素です。
写真のように飾るスペースとして使って頂いても良いですが、床置きタイプのコートハンガーを置いてコート掛けのスペースとして使っても良いと思います。
●L型の建物配置によって生まれる多様な外部スペース ~ その3 植栽のお庭 ~
「千種区南明町の家」には、もう1つ、植栽のお庭があります。
1階の居室に面しているこのお庭は、主に観賞用のお庭です。
「ホンコンエンシス」「マホニアコンフーサ」「ジューンベリー」等の植物が育っています。
「ホンコンエンシス」は、春に白い花が咲きます。
「ジューンベリー」は6月頃に実をつけます。
このお庭はウッドフェンスで囲われており、さらに、道路よりも高い位置にある為、カーテンを開けて室内に景観を取り込んでも、外からの視線を感じる事はありません。
1階の居室はオフィスとして使用していましたが、ウッドデッキのお庭と植栽のお庭、2つのお庭と接しており、明るくて景観もよく、とても気持ちの良いお気に入りの部屋でした。
●大型の土間納戸がある玄関
↑ 「千種区南明町の家」かなり大型の玄関納戸です。
外で使う物、汚れた物、濡れている物、車へ積み込んで持ち運ぶ物・・・
このような物を外に出しっぱなしにしなくてもよいように、また、わざわざ家の奥まで運ばなくてもよいように、玄関に土足で出入りできる土間の大型収納があります。
自分は、登山やキャンプが趣味なので、車に荷物を積み込んだり積み下ろしたりする事が多いのですが、大きい物が収納できて、靴を履いたまま車まで往復できる収納は本当に便利でした。
スキーやゴルフをする人にとっても、便利に使える収納だと思います。
洗車や掃除で使った後の洗車バケツや高圧洗浄機、傘などを、多少濡れたままでも気にせず収納できる事も土間収納である事の便利なポイントです。
その他、子供の外遊び道具や三輪車、ベビーカーなどの収納にも最適です。
それと、通販で購入したものの段ボール置き場としても重宝します。
荷物が届いたら玄関で段ボールをバラし、納戸の中に溜めておき、ある程度溜まったら車に積み込んで覚王山にある「石川マテリアル」まで持っていくのが一連の流れでした。
嵩張る段ボールもスッキリ片付き、リサイクル搬出までの一連の流れも実にスムーズでした。
●靴専用の大型の玄関収納
↑ 「千種区南明町の家」靴はウォークインではなく、靴専用の収納に。
靴の収納はウォークインの土間式の納戸とは別に計画し、スムーズでムダのない動線で靴の脱ぎ履き、収納ができるようにしています。
写真の棚板は10段ですが、現在は段数を増やしてあります。
靴の収納量は約80足。十分な量の収納量を計画しました。
●広い玄関は使いやすい
↑ 「千種区南明町の家」ベビーカーを広げられ、椅子を置ける広さの玄関。
「千種区南明町の家」の広い玄関は、ほんとうに使いやすくて快適でした。
スツールを置いても邪魔にならないゆとりのある広さの為、靴の脱ぎ履きを快適にする事ができました。
ベビーカーを広げても余裕がある土間の広さのおかげで、外出の準備や片付けを快適にする事ができました。
車に積み込む荷物や積み下ろした荷物を置けるスペースがたくさんあるので、旅行の準備や片付けがとても快適でした。
●洗面脱衣室内を最大限活用するためにいくつかの工夫
↑ 「千種区南明町の家」使いやすさとお手入れのしやすさにこだわった洗面脱衣室
1階の洗面脱衣室には、限られた空間を最大限に活用できる工夫をいくつも盛り込んでいます。
まず、洗濯機と洗面台の間に間仕切り壁を造っています。
その壁があることによって、洗面台の上の水や髪の毛が、洗濯機との間の隙間に落ちて溜まるような事がないようになっています。
また、間仕切り壁がある事で、洗濯機置き場の上を無駄なく収納として使えるようになります。
洗濯機の上は扉のないオープンな棚になっており、洗濯機のほうを向いたまま洗剤や柔軟剤などの出し入れができるようになっており、無駄な動作を省く設計になっています。
また、使用頻度の高いタオルやバスタオルの収納場所としても、取り出しやすく仕舞いやすい便利な場所です。
この棚板の最下段には、洗濯ハンガーを吊り下げられるようになっていて、洗濯が終わった服を洗濯機から取り出しながらハンガーに掛け、上部にあるハンガーレール(写真右上に少し映り込んでいるシルバーの金物)にストックし、まとめて洗濯物干し場に持っていくという流れになっており、洗濯の一連の動作がスムーズに行えるような設計になっています。
関連記事「お手入れがしやすい洗面台と脱衣室の収納料を少しでも増やす為の工夫」
●「洗う→干す→収納する」を、ほとんど1階で完結できるコンパクトな洗濯動線
洗面脱衣室の近くには、脱衣室内に1つ、脱衣室のすぐ側の廊下に1つ、計2つの収納が計画してあります。
その理由は、家族全員分の下着と室内着をすべて1階に収納できるようにする為です。
それらをすべて1階に収納する事ができれば、アイロンがけが必要な洋服類を除いて、洗濯→乾燥→収納を、1階で完結できるようになるからです。
1階に家族全員分の下着と室内着が収納できるメリットは、洗濯が楽になる事だけではありません。
思い立ったらすぐ、着替えを3階の部屋まで取りに行かなくても、脱衣室やその近くの収納から着替えを取り、お風呂に入れる事です。