大量の物件を供給する分譲住宅業者の中には、土地の形ごとにあらかじめ決められた間取りを当てはめるだけという会社があると聞きますが、私にとってはとても信じられません。
そんな風に物件づくりをしなければいけないのであれば、提供できる物件の数は少なくても構いません。
数を供給する為に、たいして考えられることもなく、土地の形に応じて決められた間取りを当てはめただけの物件を、さも良い物件かのように振る舞って販売することは、自分が最もやりたくない仕事のうちのひとつです。
私は、自分自身が納得できるまで突き詰めて考えた商品だけをお客様におススメしたいと思っています。
プロとして仕事をするという事は、そうゆう事だと自分では思っていますし、常にそうありたいと思っています。
間取りを考えるにあたっても、常に自問自答するのは「なぜ、そうするのか?」という事です。
それを納得できるまで突き詰めて、お客様にご説明し、お客様にも納得して頂いて物件をご購入頂きたいと考えています。
「池下駅北の家」は、ホームページに掲載する前に、水面下でお声掛け頂いたお客様に既にご成約を頂いている物件ですが、今回はなぜ、このような間取りを計画するに至ったか、大枠でのお話しをしようと思っています。
南側の敷地に建物が建っても採光が確保されるように。
まず、この土地の形を見た時に考えたことは、南側の敷地に目いっぱいの高さの建物が建っても採光を確保するにはどうしたら良いか?
ということです。
間取りを考えるにあたっての最優先事項は、そのことです。
まず、いちばん陽当たりを確保したいリビングが2階に配置される3階建てのプランが大前提になります。
次に、陽当たりが悪くなっても影響が少ない寝室を1階に配置する事です。
↓
そうすると、自然と子供部屋は3階に配置される事になります。
3階に配置した子供部屋の採光は、まず心配いりません。
↓
結果、リビングを通って子供が自分の部屋にアクセスするという動線的な良さにも繋がりました。
そしてもうひとつは、恵まれた地形を活かして、建物をめいっぱい北側に寄せ、建物の間口を南側に向けて広げるという事です。
それは、全居室南向きという希少で恵まれた条件の間取りを実現する事に繋がりました。
このようにして、「1階に主寝室・2階にリビング・3階に子供部屋」という間取りの大まかなゾーニングは確定しました。
採光というのは、2つの考え方があります。
それは、
どれだけ強い光を取り込むのか? = 光の強さ
ということと、
どれだけの量の光を取り込むのか? = 光の量
です。
光の強さというのは、その窓の向きや陽当たりの良さとも言えますが、この部分が弱くなっても、光の量でカバーできるようにしておく必要があります。
光の量とは、窓の枚数や大きさです。
よって、南側には構造的な強さを犠牲にしない範囲で、できる限り大きな窓を設けるようにしました。
また、テレビや家具を置く壁面は、できるだけ窓を設けずに空けておきたいと自分は考えるほうですが、今回は東向きの角という敷地の良さ、および、南側に建物が建った場合の事を考え、採光を優先し、窓を2枚配置しました。
南側に広いスパンのLDKなので、南側に建物が建ち、お部屋にそそぐ光の強さが弱くなっても、窓の数と大きさで十分カバーできると考えました。
※逆にそう思えなければ、この土地の購入は見送ろうと思っていました。
特にリビングは、窓の枚数と南側に対しての間口の広さが相まって、とても明るいリビングになると思います。
その他細やかなこだわりポイントは、完成した写真と共にお伝えしたいと思っています。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤幹展
前回の名東区に続きまして、次は千種区の池下での分譲です。
しかし、こちらの物件。
土地を購入したばかりの頃、水面下で声を掛けて頂いたお客様に情報をお伝えしましたら
とても気に入って下さいまして、そのままご成約という流れとなってしまいました。
そのようなタイミングでご商談を頂いておりました為、ホームページ上で情報を公開することができませんでしたが、正式にご契約&お客様の融資の内定等が完了し、情報公開とご成約のご報告をさせて頂くこととなりました。
自分で言うのも何ですが、今回の物件もひたすら良い物件でした。
物件情報を見つけた時の興奮と、早く検討しなければという焦りを強く感じた物件で、
見に行った翌日には購入の申し込みをしました。
しかし、物件の申し込みが、情報が出た翌日というのは、本当は少し遅いくらいで、
良い物件なら、理想を言えば当日にでも申し込みをしておきたい所です。
今回、申し込みが翌日となってしまったのには理由がありました。
それは、
「申し込みをする前に、どうしても確認をしておきたい、押さえておきたい検討事項」
が1つだけあったから です。
「なぜ、この物件を購入したのか?」
その理由・動機と共に、次回そのあたりのお話をさせて頂きます。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
分譲住宅は、プロが土地を選択し、材料を選択し、間取りを決めます。
そうである以上、分譲住宅は「提案」が詰まった住宅でなければいけません。
「なんとなく造った家」ではもちろんダメで、
「なぜ、そうしたのか?」
その理由や動機は明確でなければいけませんし、お客様に説明できなければいけません。
「なぜ、そうしたのか?」 を 「いかに細部までお客様にご説明できるか?」
それこそが、造り手としての責任です。
ひとつの土地を購入するにも、明確な理由・動機がたくさんあります。
ここでは、「池下駅北」の土地が「なぜ、よい土地なのか?=なぜ、この土地を購入したのか?」について、
お話したいと思います。
26坪という絶妙な大きさの土地 だから。
予算の心配をする必要がなければ、ゆとりのある土地にゆとりのある建物の建て方をすれば良いのですが、
現実的にはハウスメーカーのモデルハウスのように、必ずしも潤沢すぎる予算がある訳ではありません。
結局大切なことは・・・
「限られた予算の中で、いかに良い土地を手にし、良い建物を建てるか」
無限に近い予算を持った恵まれた人でない限り、ほとんどの人の「家づくりの命題」だと思います。
「良い土地」だけでもダメです。
「良い建物」だけでもダメです。
「良い土地」と「良い建物」が両方あってはじめて、「良い住まい」となり、「良い生活」が実現できます。
そう考えると、やっぱり「家づくりはバランス」なのです。
分譲住宅は、「それらの究極のバランスを体現したもの」でなければいけません。
少なくとも私の分譲住宅に対する考え方はそうです。
限られた予算の中で、土地も建物も妥協しない。
そう考えると、「広すぎる土地」は経済的ではありません。
人気が高く、環境の良い名古屋市内東部エリアは、土地の坪単価が高く、1坪の差が予算に大きく響いてきます。
住環境全体の良好なバランスを考えると・・・
「一般的な広さの建物 = 3~4LDKで駐車場1台~2台 」を建てることができる広さがあれば、
土地は小さければ小さいほうが良いのです。
活用されない贅肉のような土地に対して、1坪80万円とか90万円の予算を消費するなら、
コンパクトな土地に無駄なく建築し、その分建物をしっかり建てたほうが良いというのが、基本的な私の考え方です。
「無駄な土地がほとんど無い26坪という面積だから」
それが、この土地を購入した大きな理由のひとつです。
土地は切り売りではありませんので、都合の良い面積で出てきてくれる訳ではありません。
この面積の角地というのは、非常に希少な条件です。
角地であることはもちろん、整った形をした角地 だから。
角地の良さは言うまでもありませんが、地形の良さは非常に大切なことです。
良い地形とは = 環境が良い家が建つ地形のことです。
パッと見て、あまり良くない地形をしていたとしても、
プランを計画し、駐車場を計画し、すべてが調和するのであれば、それは良い地形です。
「神丘公園南の家」がそのような例です。
これが、「池下駅北の家」の土地区画図です。
「北東角地」の土地ですね。
この物件の非常に良い点は、奥行と間口がほぼ同じ「整った形の角地」という点です。
北向きの角地の場合、
東西に長すぎる地形であれば、南側隣地までの空き寸法が少なくなってしまい、陽当たりの悪い家になってしまいます。
逆に、南北に長すぎる地形であれば、南側に対しての建物間口が少なくなってしまい、これもまた陽当たりの悪い家になってしまいます。
この物件は非常にバランスの良い「間口と奥行寸法」を持っているので、
「南側に対しての十分な建物間口 = 全居室南向きの環境の良い間取り」
を実現しながら、
「南側隣地まで約4.4mの余裕の空き寸法」
を実現できています。
ここが、この物件の希少なポイントです。
土地に対して南が若干東に振っているのも良いポイントでした。
この物件を購入した大きな理由というのは、概ね上記2点。
もちろん、人気の学区「高見小学校・若水中学校学区」であることや、
小中学校までとても近いこと、
東山線の池下駅まで徒歩10分という立地であること等、
普通に良いと思えることはたくさんありましたが、
決定的に良い点というのは、
「26坪という絶妙な面積でありながら角地。しかも、良い間取りが入る整った形をしている。」
ということです。
この条件を満たす土地というのは、そう簡単には手に入りません。
物件を検討する上で感じたひとつの懸念・デメリット
それは、南側が月極駐車場だということです。
将来建物が建つ可能性も十分考えられます。
これは、唯一最大のデメリットでした。
土地の申し込みを1日遅らせたのは、
「この懸念に対する明確な答えをプランによって示せるかどうか」を検証したかったからです。
より具体的に建築プランを検討した結果、
1、南側に建物が建った場合一番ダメージが大きい1階に寝室を配置することができたこと → 夜使う寝室なので建物が建っても影響が少ない。
2、南側に対して広い間口のリビングが実現できたこと → 南側に建物が建っても、採光窓の枚数が多いので明るさを確保しやすい。
3、20m高度地区の為、南側隣地に建物がギリギリに建ってもおよそ2階建て半の高さが限界であること → 2階のリビングを基準にすれば、南側は1.5階建てくらいの軒高なので、影響はより薄い。
4、南側隣地まで約4.4mの空き寸法を確保できたこと
これらの事より、影響は限定的だと判断し、土地を購入することを決断しました。
以上、「池下駅北の家」の土地を購入した理由 でした!
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
神丘公園南の家、本日お客様へのお引渡しを行いました。
お引渡しが終わり、神丘公園南の家に関する書類の整理をしていましたが、まとめてみると膨大な量。
今の間取りは、最初の案から何度も改善を重ねて現在の形になりました。
懐かしく思いつつ古い間取りや計画図と見比べていると、より良くなっていることがよくわかります。
今思うと、物件に対し深く踏み込むことができたのだと思います。
土地の買い付けや間取りの決定という大きな選択から、
スイッチやコンセントの位置、照明や収納の計画、仕様検討や納まり等のより細部の検討まで、
すべてにおいて、今の自分が持てるすべての能力を注ぎ込むことができた物件だったと、自信を持って振り返ることができます。
今日、そう思うことが出来て、本当に良かったと思っています。
土地を納めて頂いた業者様。
助言を頂いた恩師。
設計に協力頂いた先生。
建物を建築して頂いた工務店さん。
施工検査をして頂いた検査員さん。
外構を計画&施工して頂いた外構屋さん。
見学会にお越しいただいたお客様。
物件を評価して頂き、一生に何度とない大きな決断で
物件を購入して頂いたお客様。
すべての方々のおかげでもあります。
本当にありがとうございました。
私の手を離れたこの物件が、お客様の幸せに貢献できることを心から願っております。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
見学会では、たくさんのお客様にご来場いただきまして、本当にありがとうございました。
おかげさまで、「神丘公園南の家」はご成約を頂きました。
今回は、販売開始即日でのご成約ということで、造り手としてはとても嬉しい思いです。
ありがとうございました。
気持ちが入った物件は我が子のような存在だと思うことがよくあります。
良い物件に仕上げていかなければいけないプレッシャー。
難問に突き当たった時の悩み。
いい加減な仕事をされた時の憤り。
思った通りの物件に成長してくれた時の安心。
物件を褒めて頂いた時の嬉しさ。
売れ残ってしまった時には焦りを感じるのに、いざ売れると感じる寂しさ。
ごくごく稀に、買ってほしくないと思うお客様が存在すること等も、
娘を嫁に出す親の気持ちと似ているんじゃないかと想像しております。
今回、物件を髙く、また、深く評価して頂き、ご購入頂けるお客様に我が物件が嫁ぐかと思うと、
寂しくもあり、嬉しくもあり、また、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当に、ありがとうございました。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展
↓ 「神丘公園南の家」完成後の外観