夜も心地よい光環境で過ごせるように・・
心地のよい生活を考える時、「お家の陽当たり」は欠かせない要素です。
あまりにも普遍的な前提条件なので、一般的な分譲住宅でも陽当たりを気にする物件はそれなりに多い訳です。(一方、陽当たりを全然気にしていない物件もそれなりに存在していますが・・)
ミキプランニングでも陽当たりに難がある物件は当然買いませんし、陽当たりの良さにはかなりこだわっているほうだと思います。
自分自身、陽あたりの悪い家での生活は想像できないですし、そのような家に住みたいとは思いません。
陽当たりが良く明るいお家はやはりとてもさわやかで心地よい訳で、だからこそ「陽当たりの良さ」はお家探しにおける普遍的な条件となっているのだと思います。
「陽当たりの良さ」とは言い換えれば「お昼間における光環境」です。
では、夜はどうでしょうか?
心地よく過ごせるお家を考えた時、光というのはとても大切な要素です。それは、お昼であっても夜であっても変わりません。
お昼間は陽当たりの良いさわやかなリビングも、夜は照明器具によるあかりによって光環境が決定されます。
リビングを使うのはお昼間の時間だけではありませんし、むしろ、お仕事から帰ってきてくつろぎの時間を過ごすのは大抵の場合夜のリビングです。
そう考えると、照明プランを考える事はとても重要な事だと思うのですが・・・
しかし、陽当たりの事を気にしても照明器具や照明プランを気にしている分譲住宅はほとんどありません。
LDKには2つくらいシーリング照明のジャックが取り付けてあるだけで本当に味気なく、心地よい光環境とはかけ離れた何の提案もない動機なきプランである事がほとんどです。
個人的には、照明計画を抜きにして、心地よく過ごせるお家を造る事はできないと思っています。
多少コストがかかっても、それで物件価格が上がってしまっても、したほうが絶対に良くなる事、そして、新築の時にしかできない事が家づくりにはたくさんあると思います。
そのような事は可能な限り実現したいと思っています。
ご紹介する照明プランや照明器具もそのうちのひとつです。
リビングに最適なのは角が取れたやわらかい反射光
↑ 当社施工例(同仕様):光源が直接目に触れ眩しさを感じないように、また、角が取れたやさしい光となるように、天井や壁面に光を一度バウンドさせる間接照明をメインに。その補助としてユニバーサルダウンライトを複数配置。
ミキプランニングでは、リビング階の階高を通常よりも20センチ多めに確保しています。
その20センチのスペースを活用し、「カーテンボックス」や「照明ボックス」を埋め込みます。
瑞穂公園の家でも、天井の裏側に照明を設置するスペースを2箇所設けています。
1か所は上の写真にあるようなテレビが設置される壁面を照らす照明。
もう1か所は天井内に設置された天井を照らす照明です。
いわゆる間接照明ですが、間接照明とはその名の通り、壁や天井に1度光をバウンドさせる訳です。
バウンドされた間接光は、角が取れたやわらかい光になります。
また、光源が直接目に触れず眩しさを感じさせない為、落ち着きが必要なリビングルームには最適な種類の光です。
挟角のユニバーサルダウンライト
↑ 施工事例写真(同仕様)
間接照明は絶対に必要な照明ではありませんが、暮らしを楽しみ心地よくする照明です。
一方、直接照明は活動的な生活照明です。
直接照明だけだと事務所のような味気ない空間になりますが、間接照明だけでも本を読んだり字を書いたりする時には明るさが不足します。(そもそも、くつろぎの光と活動の光をひとつのシーリングライトで兼用してしまおうという考え方が非常に雑ですし、無理があると個人的には思います・・。)
そのような時に天井に設置されたユニバーサルダウンライト(向きを自由に変えられるダウンライト)を点灯して下さい。
向きを自由に変えられるダウンライト(挟角)にしているのは、ソファやテーブルの位置に合わせて光の向きを調整できるようにする為・必要な箇所に光を届ける為です。
逆に、ただくつろぐだけの目的であれば、壁と天井の間接光だけで十分ですし、それが最適だと思います。
ダイニングテーブルの上にはペンダントライトを設置できるように。
↑ 当社施工事例(同仕様):ペンダントライトの種類と数によって位置を変えられるように、照明ボックスの中にレールを設置しています。
個人的には分譲住宅でよくある「ダイニングテーブルの配置とは無関係に設置されたシーリング照明」というのがとても嫌いです(笑)
しかし、分譲住宅の場合、どの位置にどんなサイズのテーブルを置き、どんな照明を設置するのかわからないという事情があり、そんな中でペンダントライトを自由に設置して頂けるようにしたのが、ダイニングルームの天井に設けた照明ボックスです。
このボックスの中にはレールが設置されており、設置するテーブルの位置、大きさ、照明の数に合わせて器具を自由に動かせます。
どんなサイズのテーブルを買っても、テーブルのセンターに照明を落とす事ができます。
また、テーブルの配置を多少変更しても、それに合わせて照明の位置を変更する事ができます。
また、1灯式(写真左)のものから2灯式(写真右のもの)に買い替えたとしても、対応できます。
ベッドの上で上を向いていてもまぶしくない照明
↑ パナソニックのカタログより画像を拝借
一般的には、眠気の増大や体温の低下など、人間の身体を睡眠に適した状態に誘導する役割は「メラトニン」というホルモンが担っていると言われています。
このメラトニンというホルモンは夜間に分泌されるホルモンですが、明るい光が目に入ると抑制される事がわかっています。
夜間に明るい光環境の場所に居ると、生体時計の時刻を後退させる事になり、睡眠の質を低下させる原因となるのです。
寝室やリビングは睡眠前の時間を過ごすお部屋です。刺激の少ない落ち着いた照明計画にする必要があります。
ベッドが配置される壁面の上部には、天井を照らすブラケット照明を設置します。
光源は上を向いており、天井にバウンドさせた落ち着いた間接光がメインの光です。もちろん、ベッドで横になっていても眩しさを感じる事はありません。
活動用の照明として、ベッドの足元に照明レールを設置しています。
スポットライトの向きを変える事で、本棚やテーブル・ベッドの上など、必要な箇所に光を届ける事ができ、照明の数を調整する事によってお好みの明るさに調整できる仕様としています。
玄関・廊下は人感センサーを採用
「瑞穂公園の家」から新たに採用する仕様です。
玄関や玄関ポーチ(屋外)は、両手がふさがっていても照明スイッチに手を伸ばす必要がないように、従来より人感センサーを設置しております。
今回、廊下の照明にも人感センサーを採用しました。
廊下は北側に配置されており、照明を点灯・消灯する機会が居室よりも多いと思いますので、人感センサーを採用する事で利便性が向上すると思いますし、消し忘れも防ぐ事ができます。
演色性を考慮した照明器具選定
「瑞穂公園の家」より、高演色の照明器具をLDKに採用しています。
演色性「Ra」というのは、色の見え方の指標です。太陽光を100とし、それに近いほど演色性が高いとされます。
演色性の低い照明では、物がもっている本来の色を表現する事ができず・・
食事が美味しく見えない・・
人の顔色が悪く見える・・
家具やお花など、お部屋の中の物がくすんで見える・・
など、様々な影響が考えられます。一番上の蛍光灯(Ra61)の画像では明らかに色がくすんで見えますね。
現在ミキプランニングで採用しているのはすべてRa80以上の照明器具なので、元々大きな違和感を感じる事はありませんが、家族が集い食事をするリビングルームでは、より演色性が高く上質な光となるように可能な限りRa95以上の高演色照明を採用しました。
住まいに最適な色温度
光の種類も覚醒に関わる事がわかっています。電球色のような暖かい色の光よりも、蛍光灯のような白い光のほうがより覚醒作用を起こします。朝日や夕日が暖かい色をしているのも、お昼間の太陽が強く白い色の光であるのも、人間の生体時計と結びつきがあるのかもしれません。
夜の名古屋駅のツインタワーを眺めてみると、北側のオフィス棟は白い光が煌々と輝いているのに対し、南側のホテル棟は温かい電球色の光が漏れ出ています。
それは、白く強い光は生産性を高める作業に適した光であるのに対し、温かい電球色はリラックスを促すホテルに最適な光だからです。
電球色のオフィスビル・・・というのは場合によってはあり得ますが、シティホテルの客室(洗面台は別ですが)で白色蛍光灯を採用するという事はまずあり得ません。
ミキプランニングの家でも、洗面台やクローゼット等を除き、照明器具は電球色を採用しています。
トイレのフットライト
夜中にトイレに起きた時、あかるい照明の光によって目が覚めてしまう事があります。
そのような事を防ぐ為、トイレの足元にほのかに点灯するフットライトを設置しています。
明るさセンサー付きなので、夜中は常に点灯している状態です(オフにする事も可能です)。
以上、照明器具・照明プランのご紹介でした!
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展