間取りの解説記事、本日は主寝室について、完成写真も交えてご説明します。
まずは、間取り図より。
ベッドルームを計画する時に意識するのは、「ベッドを置く壁面の長さ」です。
この壁面が長いと、色々なベッドレイアウトが可能になります。
言い方を変えれば、この壁面長の長さは、住まい手の生活の変化を受け止められる寝室としての懐の深さだと思っています。
ダブルベッドをひとつレイアウト
この壁面長だと、ダブルベッドひとつであれば相当ゆとりを持った配置が可能です。
ベッドスペース+書斎
ベッドスペース+TVボード(ナイトリビング的な使い方)
ベッドスペース+お化粧スペース
・・・などなど
この絵のようにデスク・家具を配置し、ベッドスペースの他にもうひとつ機能を持たせる事が可能です。
レイアウトは変わりますが、キングサイズくらいのベッド1つなら、ベッドスペースとデスクを一緒に配置できそうです。
シングルベッドをふたつレイアウト
シングルベッドを横にふたつ並べたレイアウトです。
ベッドサイズで言うと、キングサイズよりも大きいワイドキングサイズです。
大人ふたりとお子様ひとりが横にならんで寝られる大きさです。
それでも、ベッドの両サイドにはそれぞれ約75センチのスペースが残ります。
ベッドサイドの寸法は、ベッドメイキングができ、人が通ってベッドにもぐりこめる寸法が必要で、最小45センチあればOkです。
そう考えると、この大きさでもまだまだ余裕がある大きさです。
ダブルベッド+シングルベッドのレイアウト
このレイアウトで、ベッドの横幅は約2.4m。
両サイドに残るスペースは約55センチ。
ベッドサイドのスペースを考えると、横幅的にはこれがマックスです。
(もうひとつ上のサイズ(横幅2.6m)も可能と言えば可能ですが、窮屈さを感じます。)
大人ふたりとお子様2人の計4人が横に並んで寝られる寸法です。
この組み合わせなら、お子様が大きくなったらシングルベッドを子供部屋に移動する事もできますね!
シングルベッド×2のツインベッド仕様
ツインベッドのレイアウトは、両サイドのスペースの他に、中央にもスペースが必要なので、横幅を必要とします。
個人的には、、「主寝室は、ツインベッドをレイアウトできて一人前」だと思っています。
ヘッドボードのある寝室 寝室に適した照明計画。
↑ 平和公園北の家 現地:さまざまなベッドレイアウトを可能にするゆとりあるベッド背面の壁面長さ。
↑ 平和公園北の家 現地
平和公園北の家の寝室では、ベッドの枕元に窓枠兼用のヘッドボードを造りつけています。
以前より、造り付けでできる事の可能性を考えていて、リビングのファミリーライブラリーもそのうちのひとつですが、ヘッドボードは本物件ではじめて採用しました。
携帯電話・ティッシュボックス・眼鏡・腕時計・寝る前に読みたい本・目覚まし時計・ハンドクリーム・・・等々、、ベッドのまわりに置いておきたいものはたくさんあります。
音楽プレイヤー・お花や観葉植物・ピクチャーフレーム・アロマキャンドルやルームフレグランス・・・このようなものがあれば、寝室はもっと快適で過ごしやすい癒しの空間になるでしょう。
寝室のレイアウトを考える時、ベッドサイドにナイトテーブルを置く寸法はあらかじめ想定しています。
ですが、ナイトテーブルの上にはたいていの場合、照明器具を置く事になると思います。
そうすると、物が置けるスペースは意外と少ないのです。
携帯電話や目覚まし時計(写真では目覚まし時計をヘッドボードの上に置いてますが、ナイトテーブルに置いたほうが実際は使いやすです)、眼鏡など、最低限必要なものだけでテーブルは埋まってしまいます。
寝室の機能としてはそれで成立するのですが、さらに快適で過ごしやすい癒しの空間にする為にあったらいいなと思い計画したヘッドボードです。
↑ ボックスティッシュがちょうど置ける寸法。
窓枠と一体になった窓台を兼用しているのも個人的にはちょっとしたポイントです。
光が差し込む窓際のスペースはディスプレイが映えるので、自分のようなインテリア好きにとっては嬉しいスペースです。
光を受けて輝くガラス製品や太陽の光を好む観葉植物などを置きたくなります。
3枚の窓からは自然光も十分に入り、目覚めの良い寝室です。
窓の上に設置されている照明についても触れておきたいと思います。
ベッドで横になった時、光が目に直接入ってしまう計画は寝室としてはふさわしくありません。
寝室では、刺激や不快な眩しさが少ない落ち着いた光環境になるように計画しなければいけません。
そのような意味で、ダイニングルームとおなじく、寝室にもシーリングライトを採用する事はありません。
この寝室では、天井に向けて発光する照明器具を採用しています。
天井で光がバウンドする事によって、やわらかく刺激が少ない光になり、光源が目に入る事もありません。
余談になりますが、お昼間の陽当たりについてこだわりを持って物件探しをする人は多いと思います。
私自身ももちろん、陽当たりが悪い土地は買いません。
しかし、お家の中で夜を過ごす時間はお昼間よりも長く、その間は照明の光によって過ごす訳です。
言うまでもなく、快適で過ごしやすい空間に良質な光環境は必須ですが、それは昼も夜も同じなのです。
夜の光環境を左右するのはもちろん、照明計画です。
ただ、世の中の分譲住宅にはその点はほとんど考慮さえれていない物件が多いように感じます。
快適で過ごしやすいお家を選ぶには、お昼間の陽当たりはもちろん大切ですが、照明の計画も大切だと個人的には思います。
前の記事でも書きましたが、ミキプランニングで計画しているお家は、照明器具は物件に含まれます。
照明計画も建築提案のうちの一部で、過ごしやすさに大きく関わる事だからです。
ミキプランニングの物件では、建物検査と同じく、照明計画もこだわりを持ってコストをかけている部分です。
ベッドには光を向けず、クローゼットの内部だけを照らす。
↑ 平和公園北の家 現地
夫婦そろって同じ時間に起床するのであれば問題はありませんが、必ずしもそうではないと思います。
我が家では日常的に妻のほうが早起きで自分は寝ている事が多いです。
また、趣味の登山に行った次の日は、疲れ切ってお昼近くまで寝ている事もありますし、逆に出かける時は早朝なので妻や子供が寝ている時に身支度をする事になります。
そんな時、天井にひとつだけのシーリングライトという照明計画だったらどうでしょう?
有無を言わさず部屋全体を明るく照らす強烈な光。それも、天井から顔に正面から降り注ぎます。
まぶしくて目が覚めてしまうと思います。
そのような事がないように、レール型の照明を採用し、光の向きと明るさ(照明器具の数)を自由に調整できるようにしています。
基本は、このようにクローゼットのほうを向けて使って頂く想定です。
そうすれば、ベッドで寝ている人に光を浴びせずに、クローゼットの中を照らす事ができます。
ただし、器具が4つだとベッドのほうを器具が向いてなくても明るすぎる可能性がありますので、その場合は数を減らして下さい。
向きや位置、明るさを自由に調整できるのも、レール型照明のメリットです。
寝室から直接アクセスする固定階段式の小屋裏収納
↑ 平和公園北の家 現地
上の寝室の写真に写っていますが、小屋裏収納は寝室からアクセスします。
寝室から直接アクセスできる位置なので、巨大なクローゼットとして使う事もできそうです。
まず、小屋裏収納に真っ先に収納したいものは、扇風機やヒーターなどの季節家電でしょう。
また、夏の間は冬の服。冬の間は夏の服・・。季節の物洋服の収納スペースとしても最適です。
あとは、旅行用のトランクでしょうか。
日常的に使わないものを日常の生活圏(リビングや各居室・玄関の納戸)に収納するのはスペースがもったいないですし、生活圏の収納が使いづらくなります。
そのようなものは小屋裏収納に収納すれば、生活圏の収納をより効率的に活用する事ができるようになります。
上に挙げた小屋裏収納に仕舞いたい物、ぜんぶ大きくてかさばるものなんですね。
そのような物を上げ下げするのに、ハシゴ式では不便です。
収納物の上げ下げが簡単にできる固定階段式であることもポイントです。
写真のとおり、フローリングとクロスでしっかり仕上げ、エアコンのコンセント・テレビのコンセントも付いています。
場合によっては趣味部屋として活用する事も可能です。
階段室と小屋裏収納内、対面する2か所に窓を設けていますので、風も良く通り、空気も簡単に入れ替えられます。
株式会社ミキプランニング
代表取締役 佐藤 幹展