2018年07月29日
相生山駅東の家
「相生山駅東の家」施工検査の様子&ミキプランニングの品質に対する考え方

 

宅の品質とは何か?それには、いろいろな考え方があると思います。

 

ミキプランニングでは、「住宅の品質」とは「施工の品質」だと考えています。

 

世の中には多くの工法や材料が存在します。何を選択するのか、そこには絶対的な正解や間違いがある訳ではなく、あるのは目的と価値観の違いだと思っています。

 

〇〇工法だから地震に強くて安心です!とか、こんな材料を採用しているので高性能な家です!

 

・・・という表現は、昔から本当によく目にします。

 

それらは完全に間違っている訳ではありませんが、住宅の品質はそんな単純に語れるものでもないと思っています。

 

根底にある肝心な要素「施工の精度」について語られる事がなければ、それはただの机上の空論だと思うのです。

 

どんな工法を採用しても、どんなすばらしい材料を採用しても、施工の品質が悪ければ良い品質の家とは言えません。

 

施工の品質を高める為、ミキプランニングでは外部の施工検査専門会社に依頼をして、すべての物件に対して着工から完成まで全6回の施工検査を行っています。

 

もちろん、それらの検査のデータはすべて写真と共に記録に残しています。完成内覧会では、皆様にご覧頂けるようにご用意致します。

 

まもなく完成する「相生山駅東の家」。

 

今回は、着工から現在まで、施工検査に立ち会った時の写真・現場で撮影した写真を中心にお届けしようと思います。

 

 

工前の現地の様子

 

↑ 地下鉄駅より6分という利便性の高い立地である事はもちろんですが、陽当たりの良いお家が建てられる間口の広い地形もこの土地を購入した大きな理由です。

 

 

礎着工間もない現地 

↑ 鉄筋を組む前の現地の様子。地盤調査の結果、強度は良好で地盤改良は不要でした。完成内覧会では地盤調査報告書をご覧頂けるように現地にご用意しております。

 

 

礎配筋検査の様子

↑ 人通口という点検の時に人が通る箇所の補強について、検査をしています。

 

↑ 検査には、工務店さんの監督さんは必ず立ち会います。私も検査の日は立会うようにしています。

 

↑ 鉄筋の間隔を検査しています。

 

 

摘事項

基礎の配筋検査は、義務検査の対象でもあります。

 

なので、ミキプランニングの物件では、基礎配筋は義務と任意で2社の検査が入ります。

 

しかし、義務の検査は15分ほどで終わってしまう本当に簡単な検査です。

 

見ているのは全体のうちほんの一部分に過ぎません。

 

個人的には、まったく不十分な検査内容だと思っています。

 

事実、義務の検査では指摘を受けず、任意の検査では指摘を受ける・・・という事は良くある事です。

 

 

結局、ひとつひとつの作業・工程の品質を高める為には、「そのひとつひとつを徹底的に検査をする」しかありません。

 

なぜなら、住宅は他の商品とは違い、均一な作業を繰り返すロボットや機械が造る訳ではないからです。

 

住宅は経験も年齢も違う様々な職人さん達が手作業で造り上げるものですから、「忘れ」や「認識の違い」などが起こらないという前提で家づくりを進めることはできません

 

人間の手によって造られる商品だからこそ現場での徹底した施工検査が必要だし、検査を徹底する事でしか住宅の品質を向上させる事はできないというのが、私の品質に対する基本的な考え方です。

 

↑ 3重に結束された箇所について、コンクリートが隅々まで行き渡るように、鉄筋と鉄筋の間隔を空けるようにしてくださいという指摘内容です。

 

↑ 結束は2重までとし、その他の鉄筋は間隔を広げて隙間をつくるように改善されました。

 

最終的に出来上がる検査報告書には、「指摘を受けた理由と改善前の写真」と「改善後の写真」を記録として残します。

 

↑ 鉄筋の浮き寸法を検査しています。寸法が不足している箇所は、スペーサーを追加して一定の寸法以上となるようにします。コンクリートの寿命を左右する大事な工程です。

 

 

造を組み立てる工程です。

↑ この写真はA邸のもの。B邸は別の日に行います。

 

 

水の検査

 

木造住宅の耐久性を考える時に、木材を濡らさない事・いかに木材の乾燥状態を保つか・・という事は非常に大切です。

 

木材の腐食やシロアリの被害は構造体が濡れる事から始まるからです。

 

当然、防水工事の精度が低いと外部から雨水が侵入し、構造を濡らします。

 

なので、防水工事というのは品質を考える上で非常に重要な工程なのです。

 

しかし、残念ながら今の制度では「防水」の工程は検査が義務付けられておりません。

 

昔は義務だったのです。ただ、基礎の義務検査と同じく、そんなに細かい検査ではありませんでしたが・・。

 

住宅は、人の手でひとつひとつの手作業を積み重ねて造られている商品です。

 

防水検査にしても「一部分だけを検査して終わり=ほかの箇所もOKだろう」ではあまり意味がなく、時間をかけて広い範囲をちゃんと検査しなければ意味がありません。

 

 ↑ A邸の屋根防水です。防水シート同士が重なる箇所は重点的に検査します。

 

↑ A邸の外壁防水

 

このようなシンプルな箇所は懸念は少ないのですが・・・

 

↑ B邸のバルコニー壁の防水

 

大切なのはこのような箇所です。検査員さんもこのような箇所を重点的に検査します。

 

一体成型の防水部材を使用し、防水性能を高めています。

 

それでも、テープの圧着が不足して浮きが生じていないか・・・適切な幅のテープが使用されているか・・・など、重要な点はたくさんあります。

 

 

根が完成しました。

↑ これはA邸の屋根ですね!

 

設計段階より、雨仕舞を考えできるだけシンプルに屋根を掛けるように心掛けています。

 

南垂れの片流れなので、太陽光発電パネルを載せても効率が良さそうです!

 

 

工工事が始まる前の現場での打ち合わせ風景

↑ 細かい造作図面や電気図面は私自身が引いているので、大工さんからの質疑を受けたり、細かい納まりでこだわりたい箇所を伝えたり・・・この打ち合わせには必ず私自身も参加するようにしています。 

 

 

邸の小屋裏収納

↑ 約7.6帖の収納スペースの存在はかなり大きいです!

 

 

造金物の検査

 

構造金物の取り付けが完了した頃、金物の検査が行われます。

 

この工程は義務の検査の対象にもなっているので、義務検査と任意検査の2社の検査員さんが現場を検査します。

 

構造金物検査でもやはり、義務の検査はすぐに終わってしまいます。

 

この日の検査時間は、義務の検査はおよそ15分・任意の検査はおよそ120分でした。

 

それだけ、見る範囲や細かさが違うのです。

 

そして、構造金物の取り付けひとつをとってみても、その施工の違いによって性能は大きく変わるのです。

 

詳しくは、別の記事にまとめていますので、もしお時間がございましたらご覧下さい。

 

↑ A邸の寝室です。南側に大きなサッシが取り付けられており明るい寝室。明るい寝室は朝が気持ちよく迎えられます。

 

↑ 床の構造用合板の釘の間隔が広い箇所があったので、釘を打ち増しするように指示を受けました。義務検査員さんからはこのような指摘は受けません。

 

 

邸の建て方の様子

↑ 朝の8時頃。職人さん達とクレーンのスタンバイが完了し、建て方が始まるところです。

 

B邸の建て方の様子はタイムラプス動画で記録していますので、もしお時間がございましたらご覧ください。 

 

 

熱材施工の工程も検査が義務付けられていませんが、とてもとても大切な工程です。

 

 

上の資料のように、同じ断熱材を使用していても施工の状態によって断熱効果は最大半分になってしまうと言われています。

 

グラスウールであれば、断熱材のグレードを1つ上げる事によって約10%断熱性能が上がります。

 

つまり、断熱材のグレードの違いによる断熱性能の違いは、施工精度の違いによって簡単に覆ってしまうのです。

 

そう考えると・・・

 

性能の高い断熱材を採用しています!

断熱性能の高い家です!!

 

・・・と、簡単に言えない事がわかります。

 

 

省エネ等級についても同じ事が言えます。

 

この等級制度というのは施工の精度を現場で検査する訳ではありません。仕様の差によって等級が付与される仕組みなのです。

 

つまり、現場で検査されるのは「申請通りの断熱材をちゃんと使用しているのか?」であって、「施工の精度」ではないのです。

 

指定の断熱材を使用してさえいれば、いくら精度が低い施工でも等級は取得できてしまいます。

 

省エネ等級〇等級を取得しています!

断熱性能が高い家です!!

 

・・・とも、簡単に言えない事がわかります。

 

何事にも根底にあるべきは「しっかりとした施工」なのです。

 

 ↑ A邸の現地写真

 

断熱材の施工には、もうひとつ重要なポイントがあります。それは、表面のビニール=防湿フィルムをしっかりと隙間なく施工する事です。

 

特に上の写真のように、断熱材を現場でカットする必要がある箇所が重要です。

 

カットした箇所は防湿フィルムの隙間ができやすく、室内の湿度が高く暖かい空気がその隙間から壁の中に侵入し、結露を起こしやすくなるからです。

 

そのような箇所に隙間を塞ぐためテープで処理をします。

 

結露は構造を濡らす原因となり、劣化の原因となります。

 

「防水」の項目でもお伝えしましたが、木造住宅の耐久性を考える時に、木材を濡らさない事・いかに木材の乾燥状態を保つか・・という事は非常に大切です。

  

なので、断熱工事も品質を考える上で非常に重要な工程なのです。

 

にも関わらず、「防水」も「断熱」も義務検査の対象ではありません。

 

個人的には、「防水」や「断熱」の検査をせずに木造住宅の品質を語ることはできないと思うのです。

 

↑  コンセントやスイッチがある箇所は、そのまわりの防湿フィルムはカットされます。

 

なので、避けられない箇所もありますが、電気図面を引く時には極力外気に接する壁面にスイッチやコンセントを配置しないように気を付けています。

 

また、外壁を貫通する給気口も極力設けず、給気機能付きのサッシを採用しています。

 

↑ コンセントのまわりをテープで塞ぎ、気密処理をしています。

 

 

工工事の真っ最中

↑ A邸の吹き抜けの木貼り天井と照明の組み合わせは完成が楽しみな箇所のうちのひとつです。

 

この吹き抜けまわりの空間の詳細は下記の記事にて詳しく触れていますので、お時間がありましたらご覧下さい。

A邸の吹き抜け空間を含めた詳細計画について。

 

↑ B邸は、南側に間口が広い明るいワイドスパンリビングが特徴です。 採光窓が2枚設置できています。

 

↑ 木貼り天井が仕上がったA邸リビング。

 

もう間もなく、現地の完成写真と内覧会スケジュールをお伝えできると思います。

 

しばらくお待ちください。

 

株式会社ミキプランニング

代表取締役 佐藤 幹展

 

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