2018年05月14日
相生山駅東の家
「相生山駅東の家」 ~ 間取りの解説記事 1階 ~

 

関まわりの収納をとにかく充実させたい。

 

分譲住宅の間取りを見ていると思うのが、収納が少なすぎるという事。

 

個人的に、十分な収納量が確保できていると思える物件を目にすることはなかなかありません。

 

特に、玄関まわりの収納に至っては「致命的に少ない物件ばかり」だと思っています。

 

酷い物件になると「靴すら満足に収納できない」ような間取りもあります。

 

そのような玄関は値段の安さを売りに大量に家を建てるメーカーの家によく見られます。横幅1.2mくらいの心細い腰高の玄関収納がひとつ置かれているだけの玄関です。

 

ざっと、1段5足×4段で20足、詰め込んで6足×4段で24足というところでしょう。4人家族で1人あたり5~6足の収納量・・・明らかに足りません。

 

失礼ながら、そのような物件を造ってる人は収納が明らかに不足している事に気付いていて売っているか、何も考えずなんとなく物件造りをしているか、そのどちらかです。

 

個人的には・・・そのような仕事はしたくありませんし、そのような家には住みたくありません。

 

では、靴が収納できればそれでOKかというと、それだけでは十分とは言えません。靴が満足に収納できるという事は玄関に求められる最低限の条件です。

 

そして、「生活利便性が高く、ストレスのない心地よい暮らしとお家」を考えた時、「収納が充実した玄関」は必須の条件です。

 

ですので、私は「玄関まわりの収納」を、間取りを考える上でかなり重要な問題として捉えています。

 

 

ずしもお家の奥まで運び上げる必要のない物はぜんぶ玄関に収納する。

 

例えば、インターネットでよく買い物をする自分のような人には悩ましい段ボールの置き場所。

 

玄関で受け取った荷物はその場で取り出し、どうせ外に運び出すことになる段ボールは玄関納戸に置き場を作れば便利です。

 

A邸の場合、階段下の収納を廃品回収に出す段ボールや新聞紙・雑誌類専用の収納スペースにしてしまえばストレスの無い使い方ができそうです。奥行の深さが段ボール置き場にピッタリ!

 

「外で使う汚れるモノ」は土間に置いておきたい代表的なアイテム。その代表はやはり「ベビーカー」です。

 

車輪が床に付かないように気を付けながら家の奥にある収納まで慎重に運ぶ・・・それを毎日繰り返すのはとても大変だと思います。

 

雨の日で多少濡れていても、玄関納戸は土間なのでそのまま置いても問題ありません。子供用の三輪車やキックスクーター等もそうです。

 

あとは、ゴルフバック釣り道具キャンプ用品子供の部活や遊びで使うスポーツ用品などアウトドア・スポーツ関連のアイテムです。

 

これらはすべて、お家の奥まで運び上げる必要のないものです。

 

そして、収納が玄関の近くに位置している事で、車への積み込み・積み下ろしも楽なのです。これは玄関納戸のとても大きな利点です。

 

あとは「濡れモノ」です。はもちろん・・子供用の濡れた雨カッパはお家の中に入れたくありません。

 

車や外構のお掃除をした後の高圧洗浄機・車の洗車用品一式も・・・濡れていても土間の玄関納戸ならそのまま置いても問題ありません。

 

どうでしょうか?

 

「靴しか収納できない玄関」と「収納がたくさんある玄関」この違いはとても大きなものだと思いませんか?

 

 

関まわりの収納についてもう少し具体的に。

 

A邸の玄関は、入ってすぐ右手に靴収納がありますが、床から天井まで収納になっているものの靴の収納としては少し小さいので、玄関納戸の中にも靴を収納できる棚板を設置する予定です。

 

とはいえ、少しでも多く靴を収納できるように、棚板の奥行を50センチ確保できるように計画しました。

 

 

上の写真のように・・・

 

「あまり使わない靴を靴箱に収納し、奥へ」

「普段よく使う靴はそのまま表へ」

 

・・という使い方ができるように想定しています。

 

棚板の段数は7段で計画していますので、そのまま使えば「表のスペースに24足」「裏のスペースに14足」は収納可能です。

 

しかし、棚板を最大11段くらいまでは増やす余地があると思いますので、そうすれば「表のスペースに36足」「裏のスペースに22足」くらいまで拡張可能です。

 

また、奥行50センチの棚板というのは汎用性が高いので、靴が収納できればそれ以外のものを収納する場合にも重宝します。

 

A邸の玄関納戸には、足りない靴収納を補う目的で靴収納用の棚板が設置する予定ですが、玄関脇の靴収納で十分に収納可能であれば、納戸をより広く活用できます。

 

B邸は、玄関正面の靴収納だけで十分な横幅を確保できており、約50足分の収納量です。不足すれば棚板を追加できる余地は十分にありますので、80足くらいまでは拡張可能です。

 

B邸の玄関納戸は裏側に本棚を造作しているので、A邸に比べると少し面積が小さいです。

 

しかし、玄関納戸に靴を収納する必要がない分大きく使えると思いますが、A邸には階段下収納が確保されていますので、全体の収納量としては同じくらいかなと思っています。

 

玄関納戸の中の棚板の配置等は、今後より細かく計画しますので、またお伝えできる機会があると思います。

 

 

ネン収納付きの洗面脱衣室

 

洗面脱衣室は収納が不足しがちな場所のひとつだと思います。

 

そして、必ずしも洗面脱衣室内に収納を設置できるとも限らないのが、難しいところなのです。

 

しかし今回は、A邸・B邸共にリネン収納を確保できました。

 

細かすぎる話になるので詳しくは書きませんが、A邸・B邸共にリネン収納を確保する為に、間取りの中で細かい寸法調整をしています。

 

確保できたのは、A邸で奥行30センチ・B邸は奥行25センチの棚板寸法です。

 

細かいものを収納するリネン収納には奥行はそんなに必要ありません。

 

25センチもあれば十分で、むしろ浅いほうが収納全体を見渡せて使いやすいと思っています。

 

フェイスタオルを畳んで収納するのは25センチあれば十分ですし、バスタオルを収納する事も可能な寸法です。

 

タオルの他にシャンプーや洗剤等の詰め替えを収納するのにももちろん便利ですが、浅型の引き出し収納やカゴ類を活用し家族全員分の下着を収納する事も可能だと思います。

 

 

洗面台は上の写真と全く同じものを「相生山駅東の家」でも採用しています。

 

水はね防止の立ち上がりがしっかりと確保されている事はこの洗面台を採用した大きなポイントですが、その立ち上がりの上部(奥行約7センチ)に歯ブラシ立て・コップ・歯磨き粉・ハンドソープなどを置ける事、そのような機能性の高さとシンプルなデザインを両立している事をとても高く評価しています。

 

また、洗面ボウルはカウンタートップと一体成型の人口大理石なので隙間がなくお手入れが非常に楽だという事もこの洗面台を採用しているポイントです。

 

水栓は通常モードとシャワーモードの切り替えが可能で、ホースが伸びる仕様になっており、お掃除もしやすい仕様です。

 

上部のミラーボックスは内部が収納になっています。

 

洗濯機置き場と洗面台の間に間仕切り壁を建てる事によって、見栄えの良くない洗面台や洗濯機の側面を隠し、同時に洗濯機置き場上部に棚板を設置する事が可能になります。

 

洗濯機置き場の上はオープンの棚板なので、使用頻度が高いものを置くのにピッタリです。

 

洗濯用洗剤や柔軟剤等はもちろん、タオル・バスタオル類をこの場所に収納するのも便利です。

 

 

ユニットバス(TOTO製)の扉は、折れ戸ではなく開き戸を採用しています。

 

開き戸にする事で、ドアにタオル掛けを設置できるようになります。

 

タオル掛けにバスタオルを掛けておけば、お風呂上がりに脱衣室を濡らすことなく体を拭く事ができます。

 

折れ戸と違い開き戸はドアも平坦で下枠もシンプルな形状の為、お掃除が楽な事も高ポイントです。

 

 

側のお庭に面してレイアウトされた寝室

 

この位置に寝室をレイアウトした理由は色々あります。

 

まず、全体の動線として子供部屋をリビングよりも奥に設置したかった事。

 

次に、主に夜に使用するお部屋である寝室を採光的に最も不利となる1階に設置したかった事。(とはいえ、お庭を介して南側に面しており、大きなサッシを取り付けていますので、暗い寝室という事はないと思います)

 

あとは、お庭に面するレイアウトにしたかったという理由です。

 

寝室がお庭に面している事によって、お子様がお庭で遊んでいても見守る事ができます。

 

また、お庭にウッドデッキや植栽等を配置すれば、寝室とのつながりが生まれ、より魅力的な空間になります。

 

お庭に洗濯ものを干す場合でも、寝室を通るレイアウトであれば子供達に気を使う必要もありません。

 

寝室は大きさの数値も大事ですが、それ以上にベッドを配置する壁面の長さが重要です。

 

特にB邸はかなり余裕の寸法がありますので、余裕を持ってツインベッドレイアウトが可能な寝室です。

 

ツインベッドレイアウトが可能という事は、キングサイズのベッド1つならさらに余裕を持ってレイアウト可能です。

 

A邸にはデスクスペース(ミニ書斎)・B邸は埋め込みの造作本棚を造り付ける予定です。

 

 

ェンスで囲まれた南側のお庭

 

南側にお庭が確保できるというのは、北道路物件の大きなメリットです。

 

採光スペースを確保する事が大きな目的で、それに付随して生まれたお庭ではありますが、結構広いお庭なのです。

 

A邸の場合、お部屋の広さに換算すると約12帖。B邸の場合、16.7帖相当の大きさがあります。

 

子供がプール等の外遊びをするには十分な広さのお庭です。

 

フェンスで囲まれた形状のお庭ですので、お子様が道路に飛び出す心配もなく、安心して遊ばせられるスペースという事は割と重要なポイントだと思っています。 

 

 

備室が1階にあるA邸

 

A邸は4.6帖の予備室が1階にあります。

 

予備室の使い方として最も多いのはやはり「倉庫」ではないでしょうか。

 

その場合、玄関に近く物の出し入れがしやすい1階にあるという事がとても大きなメリットになります。

 

また、寝室の隣にあるという事もメリットで、大型のウォークインクローゼットとして活用したり、趣味の部屋としても活用しやすい位置です。

 

 

納の多さは住む人の生活を受け止める懐の深さ

 

私自身の「収納が少ない家」に対するトラウマからなのか、少しでも多く、機能的で適切な位置に収納を設けたいという思いが強く、その為にかなり細かく間取りを計画しています。

 

収納が少ないと、新しい事を始めてみようという気にはきっとならないような気がします。

 

例えば、子供達とキャンプに行く為に道具一式を買い揃えようと思っても、収納する場所が無ければそれも躊躇してしまうでしょう。

 

私は登山が趣味なのですが、道具一式を収納しておくのに、それなりの場所を必要とします。ロードバイクにも乗りますが、これがあるだけで引っ越し先は相当限定されます・・・。

 

人生や生活において、新しい事を始めようとする時、収納の問題は必ず付いて回ります。

 

家族の誕生や成長においても、ペットを飼おうとした時だって収納やスペースの問題を切り離して考える事はできません。

 

収納が少ない家とはつまり、住む人の生活や人生や未来を受け止める事ができない懐の浅い家なのだと思います。

 

逆に、収納がたくさんある家とはつまり、住む人の生活や人生や未来を受け止める懐のある家なのだと思うのです。 

 

そう考えると、極論かもしれませんが、住宅の収納量はそのお家での生活の豊かさや人生の充実とも関わっていると思うのです。

 

住宅にとって収納とはそれほど大切な事だと私は思います。

 

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